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なんか好きな文学作品

  • Sumio Kobayashi
  • 2025年12月26日
  • 読了時間: 6分

更新日:2025年12月30日

こちらも、なんとなく作り手の人たちにお勧めかなあ、と思える好きな文学作品を挙げておくことで、むしろ何も人に教えなくて済むんじゃないかというリスト。


虐げられた人々

ドストエフスキーの作品で、あまり有名どころではないかも知れないけど、一番終わり方が好き。一橋時代の先生の一人が白痴をたいそう好んでいたけど、それもよくわかるし、そちらも良い作品だと思う。


狭き門

ジッドの作品ではこれ。一般的な解釈としては、一方向すぎる思考に対する教訓ともいえるかも知れないが、逆にあれだけ徹底出来ることに尊敬の念を抱く。


悪魔

トルストイの考え方は、おそらく私の父が最も影響を受けていて清貧に対する意識がある。金銭や物欲だけではなく、悪魔やクロイツェルソナタは別の欲求に対する清貧さを説いている。そういう意味で、この悪魔が一番かも知れない。これだけ資本主義丸出しの社会で生きていて、清貧ともはや言ってはいられないというのが、世論の中心だろうし、今どのようにトルストイの思考が受け入れられるのか寧ろ興味深い。父と私で、違う作品の違う観点の考えを受け入れたというのも自己分析的な意味で面白い。

 トルストイに関しては複雑な思いだけど、彼の作品で語られた、仲睦まじい老夫婦の美しさは、自分の生き方の指標に今もなっているし、これは大切にしたい。


人間不平等起源論

ルソーならこれ。natureに関する考え方として、賛同できない部分もあるものの(上記のトルストイと同様)、現代社会における不自然さに対する問題は考えさせられるものがある。社会契約論の一般意志も、特に芸術家としては、常に誰しも念頭に置いていると思われる。芸術家だとどうしても、それこそ清貧さを第一とする人々がいるので、一般意志を意識する作品に対する非難もあるだろうしそれもまた理解できる。ただし、その潔癖さが価値基準を乱すことになり、芸術上の不正(価値判断があいまいであるがゆえの不当な判断)が横行したとも言える。芸術をやるうえではなんだかんだでルソーについて考えることは多い。


私の名は紅

規模の大きさと斬新さという、難しい両立で、まさしく偉業ともいえることを成し遂げている。


人魚

マラルメの詩。マラルメからの影響は計り知れない。芸術音楽として長く取り組んだのは「音楽で言葉としての詩を表現する」ということだったが、「映画で詩を描く」タルコフスキに影響を受けたという意識はなくてむしろマラルメの影響だった。メタ芸術的な内容の詩、というのも同様で、かなりの詩で同様の主題を扱うことになった。


夜明け

ランボーでこの詩を挙げるのは最早軽薄な気すらするものの、鮮烈なイマージュからどうしても逃れられない。好きなモビルスーツは何?と聞かれて「サザビー」と答えるくらいの感じというか。芭蕉もそうだけど、脳裏に情景が強烈に思い浮かぶし、それがただの情景ではなく艶やかであるというすごさ。私自身が技術と労力でこねくり回した作品ばかり作るので、こういう直球作品はむしろあこがれたり尊敬する。


マルドロールの歌

すごい


ガルガンチュワとパンタグリュエル

上記マルドロールもそうだけど、これも、何かあったら映像化したりゲーム化したいと思ってる。中世以前の文学は、今も通じる良さがある場合もあれば、今とは感覚が違いすぎてむしろ新鮮なものがある。こういった、眠れる姫を起こすように、過去の遺物を利用して人気を得ようというのはやはりメシアンの影響。メシアンはどうあっても意識せざるを得ない。


ボヴァリ夫人

初めて読んだ時は何て面白くない、気分が悪くなる物語か、と思ったものだった。なぜここまで評価されるのか気になったので、文学研究者等の説明を読み漁った。登場人物をロマン主義の象徴として見つつ、その人物がロマン主義的な描写で、ロマン主義をある意味終わらせたフロベールが、敬意をもちつつ最後を看取る、その一連をレアリスム文学の中でやっているということがたしかに評価に足りうるものだと感じた。こう考えると文学研究が作品の価値をきちんと伝えているわけで、研究の重要性がよくわかる。今現在の日本の文学研究者の方々の、おどろくほど多くの人々が、地味で斜陽な分野の者です、と言った感じで自虐的に自己紹介をするところを数えきれないほど見てきたが、十分価値があることをやっていると思う。


谷間の百合

バルザック先生に関しては思うところがかなりあるし、一番親近感がわく作家かも知れないし、彼の気持ちがわかると強く感じる。谷間の百合のような作品を描きたくなる気持ちも。ついでにいうと、生き方やコーヒーがぶ飲みもかなり親近感。社交パーティーには行きませんが。


薔薇物語

寓意文学にはまだ大きな可能性があるとずっと思っていて、そこで「私の名は紅」がでてきたので、すごいことをやられてしまったなあ、と感じたものでした。まだ可能性はきっとある。


仮面の告白

三島さんがやっぱりフランス文学に影響を受けている日本人ということで、かなり同調する面がある。


J'accuse... !

ゾラといったら、作品そのものというよりもやはりこれ。彼の時代でも今の時代でも、結末は似たようなものだろうけども、こういったことをやるべきなのが我々。


ベートーヴェンの生涯

ロマン・ロランを知ったきっかけ。こういうところからもベートーヴェンに関しては色々と考えさせられる。当時は何故か、小学校高学年だったか、手当たり次第に地元の図書館でベートーヴェンの本を読んでいて、この本が唯一面白いと感じ、強く印象に残っている。


失われた時を求めて

白状しますごめんなさい。飛ばし読みです。マドレーヌから蘇る記憶、というだけでもああこれは傑作なんだろうなあと思わせてくれる。フランス人ではないので、ここでのマドレーヌの意図を理解しかねるけれども、それでも想像できるだけのものがある。私自身はとにかく物量と複雑さでどうこうしてしまうので、単純に心を揺さぶるような作品は本当にすごいと思ってしまう。


カイエ 

ヴァレリーのカイエを読み進めて芸術の新しい方向性が見出せるのではないか、と思っていた時期が僕にもありました。


狂気の歴史

不思議とすんなりと理解できるフーコー。うまくやればきっと身も心も繋がれずにすむ。


魔女

ミシュレはやはりすごいなあと思うしもっと評価されても良いと思う。虐げられた者等の中の弱者、そこへの魔女。母はきっとこの魔女だったんだろう。


シュルレアリスム宣言

日本でどうしてあれだけシュルレアリスムが崇められていたのか。そういった土壌があったのか、むいているのか。


泥棒日記

これはやはり彼だからこそ書けた作品。生い立ちと個性。サルトルはひどくなかったのだろうか。


バシュラール作品全般

個人的にまだ読み込んでないものの、父が異常に読み込んでいたので掲載しておく。ルソーのエミールやトルストイの思想やこういったバシュラールの思想がおそらく自分の人生を形作った。こういった新しい生き方に対する提案は、社会とのズレから生まれる問題も踏まえなければいけないし、そこまで踏み込んだ案はまだ見たことがない。自分だったら、仮にエミール的な思想が正しいとして、社会とどう折り合いをつけるのか、という、止まらない資本主義との付き合いも真剣に考える。もっと具体的な言い方をすると、独創的な生き方をした結果として、妻が近所から白い目でみられたり、子供がいじめられたり、そういったことも配慮しなければいけないという。

 







 
 

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何かを発信する気があまりなかったのですが、小林純生の考えを知りたかった、と思う人が、これだけ色々な人たちに普段から触れていると、いるかも知れず、そしてそう思ってくれた人に応えたいということで始めました。一人一人の人にきちんと時間が取れていないかもしれないので。 何かを教える立場になるとどうしても説教くさくなったり、頭ごなしな考え方になり、そしてそれは研究者にとっても芸術家にとっても、最も避けるべき

 
 
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