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自作解説:Fugue - hommage to Maurice Ravel

  • Sumio Kobayashi
  • 5月24日
  • 読了時間: 2分

この曲は自分の中ではわりと特殊な位置付けの曲になっています。

この作品を作曲するまでに「言葉としての詩を音楽で表現する」といったことをやってきましたが、さまざまな音を同時に鳴らして輪郭をぼかして音を拡張していました。言い換えると、ソロ楽器のための楽曲ではこういった表現ができないという、弱点のようなものがありました。結果としてこの時期の私の楽曲は、ソロ作品がほぼありませんでした。


そんななかで、ピアノソロでそういった詩的な表現をしようとしたのがこちらの作品になります。


点描的に音を配置して、詩的な音楽の表現につなげようとしています。絵画的もしくは美術的な作品を2025年以降作っていますが、その片鱗がここにあります。なぜ美術的な要素を入れるか、というのは凄まじく長くなるのでまた別のところで。


この作品はラヴェルのフーガを分析した際に、その構造の幾何学的な美しさに感動して、その構造をそのまま利用しています。ただし、声部数が6声になり、複雑化させています。ある意味では自作品のなかで和声や対位法の知識を一番使った作品だといえます。


それではこの作品のプログラムノートを下記に記載しておきます。


ーーープログラムノートーーー


この曲はラヴェルのフーガ、特にその構造を模して作曲されている。極めて幾何学的なその構造は楽曲の基盤として作品のバランスを整える。安定した土台の上に、ラヴェルのフーガは均整のとれた形で構築されているが、この曲では曖昧にぼかされた線が曲を形作る。音の交差や声部数の多さ、リズムの不安定さ、ヘテロフォニックな書法が線を、そして作品自体を霞ませる。

フーガの体を成している限り、特に鍵盤楽器のソロ曲の場合、複雑すぎるフーガはおそらくただ無秩序な音の連続に聞こえるだろう。この曲のなかではその不安定な音の集合に秩序を与えるものとして、安定した形式に加えて、ラヴェル的な和声が重要な役割を果たしている。調性という規則によって、雲散しそうな線に形が与えられるが、この和声法は楽曲を締め付け過ぎはしない。

上記の配慮があってもバランス次第で楽曲は極めて難解なものにも簡明なものにもなりうるが、理解と不理解のはざまで、平衡がとられている。

 
 

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